さつきの森クリニック

尿のトラブル相談

尿のトラブル相談について

 私たちは赤ちゃんの頃からずっと、毎日おしっこをしています。
 しっこをすることは日々欠かせないことだからです。

 体の中にある水分、老廃物は腎臓で綺麗に濾過されて尿になります。
 尿は膀胱にたまり、いっぱいになると尿意を感じてトイレで用を足すのです。

 あまりに日常的なことなので普段は気にしていませんが、尿を作る腎臓、尿の通り道である尿路(腎盂、尿管、膀胱、前立腺、尿道)にトラブルがあると、様々な症状として現れることになります。

 前立腺肥大症、過活動膀胱、尿路結石、尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎)、悪性疾患(腎がん、前立腺がん、膀胱がん)などの発見のきっかけとなりますので、気になる症状がある場合には一度、泌尿器科を受診することをお勧めします。



尿がでません
尿がでないことは命に関わる一大事です。
原因は3つ考えられます。

①腎臓では尿が作られて膀胱に尿がたまっているが、排尿しようと思ってもでない状態
 これは「尿閉」といいます。
 尿の通り道である尿道に妨げがあると、尿が通過できなくなります。

 この状態は男性に多くみられる症状で、その原因は前立腺肥大症がほとんどです。
 男性は尿道を取り囲むように前立腺があるため、前立腺肥大症となると尿道が外側から圧迫を受けるのです。
 また、尿道に問題がなくても膀胱にたまった尿を排出できない状態も存在します。

 膀胱の収縮を調節している神経の病気があると、膀胱は収縮できず尿を排出できません。これを神経因性膀胱といいます。膀胱の神経が障害される原因としては、糖尿病による神経障害、脊髄神経の障害、腹部手術に伴う骨盤神経の障害などがあります。

②尿を作るだけの水分が体に補給されていない状態
 汗や下痢などで水分が失われている時に、水分を補給できない状態が長時間続いた場合には尿を作ることができません。

③腎臓の機能が低下して尿を作ることができなくなる状態
 腎不全といわれます。
 糖尿病、腎炎、高血圧などが原因で腎臓が傷つくことが原因の多くを占めています。腎不全は徐々に進行することがほとんどなので、尿が出ないというこ症状が突然起こることは滅多にありません。


尿を出すのに時間がかかり、勢いが弱い、線が細い、息んだり下腹部を手で押したりして尿を排出しています
 このような症状は排尿症状、排尿困難といわれます。

 尿の通り道である尿道に通過障害がある場合と、膀胱がうまく収縮できない膀胱収縮障害があります。尿の通過障害は前立腺肥大症が原因であることが多く、男性を悩ませる症状の一つです。

 前立腺肥大症は加齢とともに増加し、70歳以上の方では70%の方に前立腺肥大症が存在します。膀胱収縮障害は男女ともに排尿障害の原因となります。膀胱の神経が障害される状態なので神経因性膀胱と呼ばれます。

 神経因性膀胱をきたす原因疾患としては、糖尿病による末梢神経障害(膀胱の神経も含む)、腰部椎間板ヘルニアや脊椎管狭窄症による膀胱への神経の圧迫、子宮がん、直腸がん手術における膀胱への神経の損傷が多い疾患です。


尿が近い、尿の回数が多いと感じます
 一日の排尿回数が多いことを頻尿といいます。

 一般的に、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合に頻尿とされます。頻尿をきたす原因は非常にたくさんあります。

 大別すると、過活動膀胱、残尿(排尿後にも膀胱の中に尿が残ること)、多尿(尿量が多いこと)、尿路感染、炎症、腫瘍、心因性に分けることができます。過活動膀胱は日本で800万人以上の男女が罹患する頻度の多い病気です。膀胱に十分に尿がたまっていないにも関わらず、勝手に膀胱が収縮してしまうため、急にトイレに駆け込みたくなったり、我慢ができずに尿が漏れてしまうことがあります。

 過活動膀胱になる原因も様々ですが、尿路感染や悪性腫瘍が頻尿の原因でないことを確認する必要があります。頻尿の原因となる状態は様々であり、尿路感染や悪性腫瘍といった放置してはならない疾患も含まれますので、原因を明らかにして、原因に応じた適切な対処をする必要があります。